塗師
阿多野 一夫

Profile

阿多野 一夫Kazuo Atano

工房:阿多野春慶
飛騨春慶塗師
伝統工芸士

1967年より現在の仕事に従事
全国漆器展 入賞
岐阜県木工デザイン展 入賞
飛騨春慶新作発表会 入賞
全国伝統工芸展 入選
2016年 飛騨産漆の山整備計画に参加

Works

まだ採取量が少ない極わずかの飛騨産漆を使った作品に取り組んでいる

  • ジュエリーケース(飛騨産漆)
    ジュエリーケース(飛騨産漆)
  • ペアカップ
    ペアカップ
  • 片口(飛騨産漆)
    片口(飛騨産漆)
  • 汁椀(飛騨産漆)
    汁椀(飛騨産漆)

飛騨の漆の作品を目指して。

縄文の頃より暮らしに活かされてきた飛騨の漆。しかし、近年では山に入って漆を採る「掻き子」がいなくなり、漆の木が育たず別の産地や外国産に頼っている。45年前の飛騨に漆の木を植林する事業でも人手不足により手入れが行き届かないでいたが、2016年より高山市と飛騨春慶連合共同組合の飛騨漆の山整備計画が行われ、阿多野もこれに参加している。塗師である自らが山に入り森の手入れや漆掻きの講習を受け、3年を経てウルシオール値の高い良質な漆を採取できるようになってきた。現在、採取量はまだわずかだが100%飛騨の木材と漆を使った作品を目指している。

漆塗の工程 work flow

【左】(右手前から)木地、色付け-琥珀色のベースとなる食紅等を塗る-、初摺り
   (右奥から) 1~5回「摺り」を繰り返し、艶やかな光沢を引き出す
【右】摺りでは、木地に漆を染み込ませるように丁寧に塗り和紙や布で拭いて漆を薄くならして乾かす
導管に漆を埋め込み表面を一定にすると同時に木目の濃淡を出す 木目を活かす春慶塗の上で大切な工程

何枚も重ねた吉野紙で漆を漉してチリなどの不純物を取り除いた透明度の高い透き漆で村ムラが出ないように慎重に上塗りをする

「室(ムロ)」で乾燥させて完成