飛騨漆の森再生プロジェクト始動 一万粒の種

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2021年3月10日

春慶塗をはじめ盛んに使われている漆ですが、現在飛騨で採取されているのは必要重量の0.01%にも満たない量で、漆器製作にはほぼ使えていません。
海外では、磁器は「China」、漆は「Japan」と呼ばれるほど知られているにも関わらず、現在国産漆はとても希少になっていて、ほとんどが中国など海外からの輸入に頼っている状況です。
縄文時代から私達の暮らしと共にあった漆文化の再生を通して、土に還る素材での循環型生活を目指し、PASSEメンバーで飛騨産漆再生プロジェクトを始動しました。

2021年3月、まずは前年に採取した種から殻を取り除く作業を行いました。
漆の種は硬いロウでコーティングされているため、ネットにいれて瓶でたたいて殻と実をわけて水にさらした後、数週間冷たいところで保管します。
自然界では鳥が実を食べるとお腹のなかでロウだけが溶け、種子は体の外に排泄されて地面に落ち、雪の下で春が来るまでゆっくりと過ごします。この仕組みを人の手で再現した方法です。
全部で種一万粒!! あたたかくなってきたら、一つ一つセルの枠の中に入れて発芽まで更に3週間ほど待ちます。

漆殻付種

瓶で脱穀

水に浮かべて選別